ジョー記者は、わりとロクデナシな男?(ネタバレあり)
「『ローマの休日』に憧れて、自分は新聞記者になった」なんて言うオジサマたちが昔はマスコミ界隈にチラホラいらっしゃいました。
でも118分のノーカット版でよく見ると、ジョー記者のキャラクターは、目標となる「立派な新聞記者」ではなく、けっこうロクデナシな男なんですよ。
ストーリーの始まりのジョー(グレゴリー・ペック)は酒とポーカーを好み、いつもお金に困り、アパートの家賃は2カ月滞納。まわりの人にお金を借りてばかり。
本社があるアメリカではなく遠いイタリアで仕事をしているのが不満。
仕事には遅刻するし、グータラでテキトー。調子だけは良い。
王女を撮りたい時にカメラが無いと、小学生のカメラを無理やり借りようとして、引率の女性教師ににらまれる…(笑)など。
けっこうロクデナシなアメリカ人特派員キャラクターとして描かれています。

シナリオとしては、そんな「ダメ男」が「お金とアメリカへの栄転」を狙うという下心で王女の特ダネを取ろうとした。しかし、このロクデナシは王女の純粋さに本気で恋をしてしまった。さて特ダネはどうなる…?というひねりが大きかったんですね。
映画の企画段階で、記者役の候補はケーリー・グラントでした。おそらくグラントの「色気とユーモアがあるチョイワル男」のイメージに合わせて、脚本が書かれたのでしょう。
こちらがケーリー・グラント。コメディセンスが抜群で、ラブコメディで良い味をだす俳優です!
けれども、グレゴリー・ペックは本人がマジメな俳優だから「崩れたチョイワル男」を演じても、ダメ男に見えない。「立派なきちんと感」が前面に出てしまいました。そのためか日本の多くの『ローマの休日』ファンは、特にテレビのカット版で見た人は、「マジメな新聞記者」のイメージが強くなってしまったようです。
「ダメ男の記者が純愛と下心(カネと出世)の板ばさみで苦しむ」という感じよりも
「仕事熱心でマジメな記者が恋と仕事(特ダネ)の板ばさみで苦しむ」という印象に仕上がりました。皆さまはどう感じられましたか?
グレゴリー・ペックは1916年生まれ。学生時代は医師をめざし、スポーツでも活躍するという素顔もマジメな青年。ケガのために大学3年から演劇に転向。ブロードウェイの舞台に立ちます。実力があり知性を感じさせる美男スターとして活躍しました。
53年の『ローマ…』の撮影のころは37才です。オードリーよりひと回り年上だから、彼女の若さと可愛らしさを引き立てました。この映画は当時としてはめずらしく全編がローマで撮影されています。セット部分もハリウッドのスタジオ内ではありません。
ペックは52年から55年までの3年間はアメリカを離れてパリで暮らしているため、ヨーロッパでの撮影は彼の希望もあったのかも知れません。
演技力があるペックは何回も米アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。代表作の1本はこの
『アラバマ物語』(1962年)です。アメリカ南部の黒人の差別問題をあつかっています。ペックは主役の弁護士で、被告にされた黒人の無罪を立証しようとします。
知的で正義感にあふれる役で、いかにもペックらしい役柄です。そしてこの作品でみごとに最優秀主演男優賞に輝きました。
ペックはアカデミー協会の第17代会長もつとめ、素顔もマジメで、ずっと立派な方でした。
『ローマの休日』(アメリカ映画 1953年)
1953年 米アカデミー賞 主演女優賞・原案賞・衣装デザイン賞受賞
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘップバーン グレゴリー・ペック他
さらに詳しいお話は…
ローマの休日2 ノーカット版で見ると、ジョー記者はロクデナシ?
ローマの休日3 エリザベス・テーラーがアン王女のはずだった?


![アラバマ物語 [ グレゴリー・ペック ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/1006/4988102051006.jpg?_ex=128x128)


