『ワーキングガール』2 東京中のOLが見た?

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「東京中のOLが見た」と言われた?

東京中のOLが見た映画?(ネタバレあり)

この映画は、日本公開時の1988年に、東京で大ヒット。「東京中のOLが見た?」とも言われたほどです。今の時代(2020年代)にバブル時代の証券会社を舞台にしたサクセスストーリーはピンとこないかも知れません。けれども、中で描かれる、性差・学歴による不合理なカベ、立場が弱い人に対する「セクハラ」や「パワハラ」は今でも大きな問題です。それらとたたかうヒロインの必死な姿は、今でも十分に魅力的です。

公開された80年代は日本では「女性の時代」の幕開け。「バブル期の女性」というと、すぐ「オシャレして夜遊びばかり。金持ちのオトコに高価な料理をごちそうになり、ブランドの服やバッグをプレゼントされて…」みたいにしか描かない最近のテレビ(NHKの80年代特集)もありましたが、それは一部だけです。バブルの好景気と「男女雇用機会均等法(86年に施行)」に後押しされて、会社や組織の中でも女性たちは伸びやかに活躍をはじめていました…。

それでも一部のエリート女性(それなりの学歴、資格をもつ)をのぞいては、なかなか男性と同じように働く「総合職」ではなく、「一般職(事務職)」を選ぶ人も多かったです。女性のそれぞれの価値観(仕事とプライベートのバランス)以前に、まだ古い体質の会社や組織が多かったため、「総合職」を選ぶのが難しかったのですね。
当時は女性社員の名刺は男性よりひと回り小さい「バーのホステスさんみたいな名刺」を持たせる会社も多かったのですよ。いえ、それ以前に、事務職の女性には名刺を持たせない会社もありました…。

左が男性、右が女性社員の名刺。サイズがひと回り小さく、四隅の角が丸くなっている。

社内外で女性社員は「女の子」と呼ばれ、管理職になる人はマレ。大手商社の入社面接時に「女性は男性社員のお嫁さん候補として採用するだけ。25歳までに社内結婚できなかったら辞めて下さい」と真顔で言われた人もいました(今ならSNSで大炎上の案件でしょう)。結婚退社や出産退社を強要する会社も多かった時代です。そんな社会の理想と現実のギャップ、そして混乱!の80年代!その中で、テスの「仕事も恋も、自分の力で手に入れる」というガッツがある姿は、多くの女性たちの共感を集めました…。

当時はまだスマホはなく、「システム手帳」が仕事の必須アイテム(?)でした

「渋谷にあった某チケット店では、前売り券が1日1000枚売れた」とか「映画を3回見た」という女性もいるほど、新鮮で魅力的なドラマがありました。ラブ・ストーリーもあり、テスは仕事で、パートナー(ハリソン・フォード)に助けてもらいますが、引き上げてもらうシンデレラではありません。ビジネスの成功に向けて主体で動くのはテス自身です。新しいヒロインの、お仕事映画だったのです。

最初とラストに流れる『レット・ザ・リバー・ラン』(アカデミー賞主題歌賞)のカーリー・サイモンの力強い歌声と女性コーラス。空にむかって高くそびえるマンハッタンの摩天楼…。まさに、ひとりの若い女性が「見えない壁(ガラスの天井)」をブレイクスルー(突破)したような「突きぬけ感のカタルシス」があります。女性に、無限の可能性を感じさせて、当時の働く女性たちを大いに励ましたくれました。

DVDジャケットのカバー写真より

『ワーキングガール』(アメリカ映画 1988年 114分)
アカデミー賞最優秀主題歌賞受賞『Let The River Run』 
監督:マイク・ニコルズ
出演:ハリソン・フォード メラニー・グリフィス シガニー・ウィーバー他

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